どうしてぼくらはだめなのか

アスペルガー?ADHD?パーソナリティー障害?ぎりぎりのところでそのどれでもない夫婦の、傷だらけの日々

07:誰にも言えない

「誰にも言えない」ってことありますよね。

過去にしてしまったことかもしれないし、現在進行形でしている何かかもしれない。

別に悪いこと・違法なこととは限らないと思います。

自分だけのものにしておきたい、この世界には誰にも入ってほしくない、たとえそれが恋人や配偶者でも。

そんな気持ち、分かります。私も、このブログを妻には秘密で書いてますし。

そんな私の妻も、秘密の世界を持っていました。過去形なのは、今はもうその世界は滅びてしまった(私が滅ぼしたのかもしれません)のですが。

 

その世界とは。

 

「お菓子を隠す世界」です。

 

夕食後、「なんかお菓子食べようかー」なんていって、いつもの場所を見ても何もないときってありませんか。「あれ、あのクッキーもう食べちゃった?」「ごめん、さっき食べちゃったよ!」「そっか、そしたら何もないか・・」という感じに。

 

そんな時、「あ!」といって妻がどこかへ姿を消しまして、お菓子を手に戻ってくることがよくありました。「あれ、どこにしまってたの、それ」と尋ねても、「どこでもいいでしょ、へへ」といって教えてくれませんでした。なんでも、リビングにあるお菓子以外に、お菓子を隠す場所がどこかにあって、そこから随時補充しているとのこと。

通常、私は気になったことは追及し白状させるタイプなんですが、この時は「きっとこれはそっとしておいたほうがいい世界なんだろうな」と直感的に悟り、深くは聞かないことにしました。狭いマンションでしたから家じゅう探せばきっと在処は分かったと思いますが(きっとあそこだろうと思う場所はありました)、なぜか探す気持ちになれず、怪しい場所はあえて見ないようにしていた記憶があります。

 

いつの間にか「お菓子を隠す世界」は滅びてしまったようですが、今になって「あの時しつこく追及して無理やり言わせなくてよかった」とつくづく思います。あくまで僕の考えですが、結婚したばかりの時って、独身の時に比べるといろんなことを夫婦間で「共有」しなくてはいけなくなると思うんです。家計のやりくりから、食べる物のこと、仕事のこと、家族のこと、自分の考え方や気持ちなど。人によっては、「他者との共有」に対する拒否感?が強くて、大変に感じる場合もあるんじゃないかと思うんです。うちの妻はまさしくそうだったと思います。そんな彼女が、「誰とも(つまり私なんですが)共有しなくてもいい場所」として大切にしていたのが、「お菓子を隠す世界」だったんじゃないかと思うんです。「この世界は自分だけのもの、自分の好きにしていい場所」があることで、どこか始まったばかりで不安定な「結婚」というもののバランスをとっていたんではないかと思います。

 

今となっては「お菓子を隠す世界」は存在していないのですが、それは彼女が「他者との共有」の積み重ねである結婚というもののバランスをうまく取れるようになってきたということなのかもしれません。

 

ちなみに「お菓子を隠す世界」がどこに存在していたのかは、今もわからないままです。

何もかも知ろうとすべきではないし 

何もかも知らせようとすることもない