06:いつか腐るだろう
買ってきた肉や魚はどうしますか。
「え?すぐに調理するか、冷蔵庫にいれるか、冷凍するかでしょ?」
僕もそう思います。
でも。
うちの妻は違います。
どうするかといいますと、
「そのまま放置」です。そして、なかなか調理が始まらない。下手したらそのまま次の日まで持ち越しです。
いや、正確には「放置でした」ですね。長年に渡る説得の結果、今は冷蔵庫に入れてくれるようになりました。それまで何度、腐ったことか。
(※念のため補足しますが、もちろん出来るときには私が冷蔵庫にしまっていました。でも、後述しますが、そうやって放置しておくとどうなるかを本人に実感してもらいたくて、あえてそのままにしていたこともある、という意味です)
この「長年に渡る説得」がとても難しかった。
妻は、何か「特別なこだわり」をある行動にもっている場合があって、この「肉の放置」がもしこのこだわりに起因するものだすると、そこを「否定すること」は彼女を否定することになってしまう(ようなんです。分析の結果)。
だから、非常に複雑なんですが、
「君は価値のある人間だし、君のしていることは悪いことでもないし、そういう風にしたい気持ちもわかるんだけど、やっぱり腐ってしまうのはもったいないからすぐに冷蔵庫に入れるのがいいと思うんだけどどうだろうか」くらいのことを言う必要があるわけです。このまま伝えるわけではないですが、「このくらいのことがわかってもらえる内容」で伝える必要があるわけです。
それも繰り返し。正直、疲れますよ。
「肉の放置」が物理的に正しくないのは明白なんですが、じゃあそれが「人として間違っているか」となるとそうではないですよね。失礼な言い方ですが、「単なる無知」かもしれないし。
妻は、何かを否定されるとき(今回の場合、「買ってきた肉を冷蔵庫にいれないこと」)に、それを「自分が否定された」と強く感じるみたいです。だから(僕もよくやってしまったんですが)「ねぇ、なんですぐに冷蔵庫に入れないの?腐るに決まってるじゃん?」みたいな指摘だと「肉を冷蔵庫にしまえず腐らせてしまう私」「叱られてしまった私」のような感じで刺さってしまうんですね、彼女には。
彼女には、
『変化するべき部分は誰にでもあるものであり、それがあるからって自分に価値がないわけではない。そこを変えていくことで、「今、すでに素敵」だけど、「もっと素敵」になれるってことだよ』
これが伝えられたらいいかなって思いますね。
「素敵になんかならなくていい」って妻には言われそうですけど。
きみも ぼくも どこか変わらなくちゃいけない